進学後を見据えて― 受験は子どもを成長させる大きなチャンス
保護者の最大の関心事は、子どもがどのように志望校を選ぶかということでしょう。自分の将来に対して、しっかりとしたビジョンを持っている子どもであれば、それに近い学問分野が学べる学校を選ぶよう、アドバイスしてやればよいのです。教育・資格・就職が一貫した単科大学のようなところもいいと思います。
しかし、多くの高校生にとって、自分の将来を思い描き、進路を絞ることは大変な作業になっています。最近のいろいろな意識調査の結果は、若年層に「無気力」「無関心」が広がっていることを示しています。「やりたいことが見つからない」子どもに、選択しなさいといってもできるはずもありません。ここ最近、社会問題となっている「フリーター志向の拡大」には、そうした背景があります。また、大学に進学しても、入学してから何をやればいいのかを見出せずにいる学生が増えている現状もあります。
そんな高校生に言えることは、まず好きな学問や得意科目から学部・学科を選びなさいということです。そこから自分を見つめることを始めるのです。好きでなければ、勉強を長く続けることはできません。学ぶ中で社会との接点を見出し、自分の「やりたいこと」を知るてがかりとするのです。知識は財産になります。「学び」の期間は少しでも長い方がいいのです。
また、昨今の就職事情をみると、企業は特定の知識・技術を身につけた人材よりも、基礎をベースにどれだけ応用できる力を身につけているかを評価します。「自ら問題を発見し、解決する能力」です。こうした力は、まず好きな学問をしっかり勉強して、社会に出るために必要な基礎学力を身につけた上で、さらに文化に触れ、資格をとり、スポーツやボランティアを積極的に行うなど、自分自身の付加価値を高めていく中で育まれます。そして、最終的には就職にもよい結果をもたらします。
自分自身で考えることが、子どもの財産になっていくのです。