親子それぞれの必要レベルで情報収集を

 進路選択における情報は、保護者の時代とは比較にならないほど増大し、多様化しています。近年では受験生向けのイベントにも、親子連れの参加者が目立つようになりました。現在の学校は昔に比べて、多くの情報を提供しています。受験を考える学校へ一度は足を運び、設備はもちろん、キャンパスや学生の雰囲気などを直接見聞きして、勉学に励む環境にあるかどうか確かめ、疑問は解決しておくほうがよいでしょう。

 受験生本人と保護者がともに学校の現状や入試制度を理解することはよいことですが、受験生本人よりも親が前面に出てしまうことは感心しません。親のほうが知れば知るほど、子どもの意志を無視し、親自身の判断で無理強いをする傾向が見られるからです。これでは、かえって子どものやる気をなくし、逆効果になります。各学校が催すオープンキャンパスや体験セミナー、進学相談会などに親子で参加した場合は、いっしょに行動しないことをお勧めします。それぞれが必要なレベルに応じた情報を入手すればよいからです。

 ぜひ考えて欲しいのは、「受験は子どもを成長させる大きなチャンスだ」ということ。子どもが人生の次のステップへ進む大きな分岐点といえます。ここで「自分で考え、結論を出し、行動する」ことは、子どもの今後の人生にとって大きな財産になるはずです。こうした経験をさせずに、何でも親がやってしまったのでは、たとえ合格しても、いつまでも大人に成りきれない未成熟な人間になってしまいます。親は子どもの自立の妨げにならないよう、後方支援に徹するべきです。