4 独立法人化の私大への影響

(1)学長の権限強化と改革の推進

 昨年、国公立大学の独立行政法人化がスタートしました。皆さんも私大への影響はどうなるのか、非常に心配されていると思います。

 国公立大学は私大に比べて教員の数も多く、文部科学省は学長に大きな権限を与えています。大学全体の運営方針を決定する「大学経営会議」では、企業などから多くの著名人を入れて、今までの教育は駄目だから、ああしろ、こうしろとどんどん提案させて、改革を次々に打ち出しています。先ほども言いましたが、国公立は動けば必ず成功しますから、これは私学にとって大きな脅威になります。

 しかし現実には、学長を中心としたこの経営会議と学部の教授会には、まだまだ大きな隔たりがあります。一学部に私学の三倍ぐらいの教員がいるわけですから、教授会を束ねる学部長クラスの先生方は大変苦労されています。私学ですら教員が動いてくれないところがいっぱいあるのに、国公立でうまくいくはずがありません。

 それでも、国から強い権限を与えられていますから、何らかの形で動いてきます。しかもその動きは速くなります。私学の立場から言うと、むしろ教授会で多少ブレーキがかかってくれればいいと思うわけですが、影響が出てくるのは必至です。

(2)国公立大学の入学定員の増加

 もう一つ、大きく変わったことがあります。昨年、大手大学が追加合格者を発表しました。その背景には、国公立大学が法人化されたことで、財政的にも定員割れが許されない状況になって、昨年から定員を今までより多めに発表していることにあります。

 その結果、第一志望の国公立に落ちた生徒は、国公立からお呼びがかかるのを三月末まで待っているのです。そうすると、私学はたまったものではありません。そこで、大手の私学でも注意をし始めて、最初から多くとって、それでも埋まらない場合には追加発表しなければならないという状況が出てきたわけです。上へ上へと志願者が集まりますから、当然、中小規模の私学は大きな影響を受けることになります。二年目の今年はそれが顕著に表われています